あなたが住む街へ〜羊毛とおはな
年賀状も終わって、部屋をあたたかくしてのんびりと過ごす冬の午後、
羊毛とおはなを聴いている。
羊毛とおはなは2013年にライブを観に行っている。当時、ボーカルのはなさんは豊橋に住んでいて「家族にごはんを作って出てきました」と話していた。アーティストもぼくたちも街で暮らしている、地続きなんだなとうれしく思ったことを覚えている。
その後、はなさんの訃報を聞いた。
ブログで病気療養されているとは知っていたけれど、まさか。
それから羊毛とおはなが聴けなくなった。
聴くと思いだしてしまうからだった。
ステージの上で、羊毛さんの衣装選びについてダメ出しをして、逆襲にあい、ぷっとふくれる彼女。なんともふつうで、かわいらしかった。
せっかく友達になれた人を突然亡くしたような気持ちだった。
このページの一番下に、はなさんが書いたファンへの最後のお手紙があるのは知っていた。でも、読んでいなかった。今さっき読んできた。あのライブツアーのときには、もう再発していたんだね。それなのに、あんなにふつうで……
どの歌を聴いても、あたたかくてやさしい気持ちになれる。
一度聴いてみてもらえるとうれしいです。
壊れかけのオモチャを出して
たたいてみても動かない
電池を入れ替えたりしても
あの頃とちがうだいきらいと口に出しては
いつもとおなじ空回り
ほんとのことはいつにも増して
鏡にも映るあなたが住む街へ
あなたが住む街へ
虹がかかる前に