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大学新卒の人が最初から「障害者雇用枠」での就職を目指す?

Kaienの「2018年の発達障害支援を予想する」連載、面白いです。

corp.kaien-lab.com


第2話での「大学新卒の人が、最初から「障害者雇用枠」での就職を目指す例が増えている」というお話。実に興味深いです。
なぜ増えているかの理由として、親の抵抗感がなくなっていることを記事では指摘しています。

多くは大学3・4年(専門学校生や院生もいます)。つまり就活生や就活予備軍です。この層と接していると年々、障害者雇用への抵抗感がなくなってきているなというのが印象です。子どもの方ではありません。親の方がです。
ガクプロでの個別相談の半分程度は僕が日々行っています。そこで小さい頃から福祉や特別支援のお世話になっている子の親の中には「うちの子を20年見てきて、普通の中で揉まれると厳しいので、配慮される中で働くほうが良いと思う」という人がとても多いです。 

「支援が必要です。こういう支援があれば働けます」とカミングアウトができること自体はとてもいいことだと思います。
ただ、採用された後、実際にどのような働き方になるのか? 職場によってのちがいが非常に大きい現実があります。
たとえば、知的障害者の雇用というと典型的な業務付与(清掃、コピー、入力などの作業的事務)の蓄積がありますが、知的障害がない発達障害の方の場合は、ある程度の非定型業務も与えられることがあるでしょう。その際のサポートのノウハウが企業にあるかというと……どうなんでしょう?

記事の後ろの方で書いてある指摘──

念のために言いますと障害者雇用率が上昇しているのは、障害がある人の雇用が進んでいるからではありません。障害と言われる人の数が多くなっている、換言すると世の中が「普通」と思っている領域を狭めているということになります。

これを企業の事情と合わせて考えると、企業は法定雇用率が上がったことへの対応として「そこそこ働ける人(障害者だが一定の戦力になる新卒者)」を採用して、法定雇用率をクリアしたい。だから、知的障害のない発達障害者が、(知的障害者と比較して)障害者枠で入りやすくなっている可能性があります。
ただ、入った後がどうなのか? ある程度の戦力として期待して採用しているからこその高度な業務付与についていけない場合や人間関係のトラブル(いじめや孤立など)ですぐに退職してしまったら……とか考えてしまいます。
就職はできても定着できなければ意味がない。意味がないどころか、そこで傷つけられた心が再起できないリスクもあります。そこがこわい。
今後のトレンドとして、大卒で障害者雇用枠で就職していく人は増えていくでしょう。長期的なフォローが必要だと思うのですが、果たしてそれは誰がやるのでしょうか? また、親? いやいや、親もさすがに雇用先との調整まではできないですよね。
ジョブコーチかなあ、やっぱり。

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